キリストの福音上陸の地・鹿児島

教区シノドス これからどう進む — ⑪ み言葉の分かち合いとは(4)

投稿日:2021年8月1日 更新日:

教区シノドス推進会事務局・長野宏樹

「聖書を読む」(第2段階)

「みことばの分ち合い」はその目的によっていくつかのタイプに分けられますが、聖書を声に出して読むという行為そのものは共通ですので、今回は聖書の開き方や聖書を声を出して読む理由などについて考えてみたいと思います。

1.聖書の開き方

「主をお迎えする祈り」が終わったら、進行係は次のように言いながら参加者たちに聖書を読んでもらいます。

「みなさん、マタイの第20章を開いてください。」
(もう一度繰り返して)
「マタイの第20章です。」
(全員がその章を開け終えるまでは、何節なのかを知らせないようにします)
「どなたか、第29節から34節までをゆっくりと読んでくださいませんか。」
(もう一度繰り返して)
「第29節から34節までです。」
(読み終えたところで)「ほかの方が、もう一度同じ個所を読んでくださいませんか。」
(他の翻訳聖書があるなら、それを読むことが勧められます)

進行係が聖書の朗読個所を説明する際には、書の名称と章や節をなぜ同時に言わないのでしょうか。多くの人には、章と節を同時に記憶するのは困難だからです。章と節を同時に言われると、隣りの人とか進行係に尋ねながら開けていくことになります。それは参加者に緊張感を与え、その前の「主をお迎えする」段階で得られた霊的な雰囲気を壊すことにもなります。参加者全員が安心して正しい朗読個所を開くことができるようにするためには、このような形で聖書の箇所を知らせるほうがよいのです。

進行係は読む人を指名しないで、誰かが自発的に読み始めるのを待ちます。そうすることによって、参加者たちは積極的に参加できるようになるのです。

朗読する時は、イエス様が弟子たちや会衆に話されたときのように、大きな声で、気持ちをこめて、祈るような感じで読みます。そうすれば、聞いている人にとってはそれが神の声、キリストの言葉として響くようになります。

2度目の朗読の際には別の翻訳聖書を朗読することが勧められているのは、同じ聖書の個所を違った観点からながめることができるうえに、その内容をより深く理解できるようになる可能性があるか
らです。

2.聖書を声を出して読む理由

私たちが祈りをするような気持ちで、声に出して聖書を読むならば、福音を「宣べ伝える」ことにもなります。また聖書の単語の一つひとつが、主の現存の「準秘跡的なしるし」にもなります。感謝の祭儀でのパンとぶどう酒と同じように、聖書のみ言葉そのものが主の現存をもたらす「しるし」となるからです。

聖書のみ言葉は、神(キリスト)が私たちに送ってくださる愛の便りです。その愛の便りには、書いたお方の心がそのまま書かれているのです。

私たちは、愛するお方からいただいた手紙を読み終えても、またもう一度読むのです。たとえその手紙の中身を全部覚えてしまったとしても、繰り返し読むたびに、その手紙を書いてくださったお方と一緒にいることができるのです。「み言葉の分かち合い」で繰り返して聖書を読む目的は、そこにあります。この段階の聖書の朗読は、私たちとともにおられる神(キリスト)との出会いを体験し、そのうちに留まることができるための一つの方法なのです。

「みことばの分ち合い」では、進行係もメンバーの一人になり、特別な席には座りません。たとえ司祭やシスターが参加したとしても、同じ立場で参加します。

進行係は、参加者全員を同じ兄弟・姉妹として平等に扱います。それは参加者一人ひとりが積極的に参加することを願っているからです。

進行係は、参加者一人ひとりが自分のタレントを十分に生かせるように、参加者たちが自分でできることについては何もしないように心がけます。

3.朗読個所

「み言葉の分ち合い」で朗読する聖書の個所は、どのように選べばよいのでしょうか。聖書は神のみ言葉ですからどこを選んでも良いのですが、次のようにすることもできるでしょう。

①班(地区)集会の場合
次の主日の福音の個所を活用するのが便利です。さらに、事前にその聖書のみ言葉の分ち合いを行なうことによって、主日のミサにあずかるよい準備となるうえに、その「み言葉の祭儀」の中身もより深く味わうことができるようになるでしょう。

②小教区評議会等の会合の場合
会議の目的にふさわしい個所を前もって選んでおくほうがよいでしょう。神が望まれる内容の会議になる可能性が大きくなるからです。それが難しいような場合は、次の主日の福音の個所を選んでもよいと思います。

4.聖書をスムーズに開くために

実際に「み言葉の分ち合い」をやってみると、進行係が告げる朗読個所をスムーズに開けるのが難しいことがあります。
スムーズに朗読個所を開けることができるようになるためには、聖書全体の目次(各書の順序)を覚えながら、自分で開く練習をすることが必要になります。自分が持っている聖書の目次を開き、その順序を眺めてみることから始めます。

聖書は、「旧約聖書」と「新約聖書」とに大別されます。

旧約聖書は、歴史書→文学書→預言書という順序になっており、それぞれの中に多くの文書が入っています。旧約聖書の中間あたりが文学書の一つである「詩編」の位置になります。

新約聖書は、福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ)→使徒言行録→使徒たちの手紙→黙示録という順序になっています。

「み言葉の分ち合い」では、翌週の主日の福音の個所を用いるケースが多くなると思いますので、まずは福音書の個所だけはすぐに開けることができるようにしておくべきでしょう。

聖書の目次を覚えやすくするために、ある宣教師が次のような「替え歌」を作って活用しておられたので、ご紹介させていただきます。メロディーは「鉄道唱歌(汽笛一声…)」を用います。これはその中の「新約聖書」の部分だけですが、ためしに口ずさんでみてください。

  1. マタイ マルコ ルカ ヨハネ 使徒 ローマ 2つのコリント書ガラテア エフェ フィリ コロサイ書 テサロと テモテは 2つの書
  2. テト フィレ ヘブライ ヤコブの書 ペトロが2つに ヨハネ3つ ユダと 黙示で 27 旧・新合わせて 74(ななじゅうし)

鹿児島カトリック教区報2021年8月号から転載

【まとめ】み言葉の分かち合いとは「聖書を読む」(第2段階)

この記事を読んだ信徒の方から、み言葉の分かち合いとは「聖書を読む」(第2段階)まとめ、の提供を受けましたので、皆さんの便宜に供したく掲載いたします。個々人はもちろん、小教区やグループなどでの分かち合いにご活用ください。

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