教区シノドス推進会事務局・長野宏樹
「み言葉選びと黙想そして分かち合い」(第三、四、五段階)
「み言葉の分ち合い」では、聖書を朗読した後、その中から自分の心に響いた言葉あるいは短い文章を一人ひとりが選び、それを声を出して数回読みます。その後、全員がそのみ言葉についてしばらく黙想します。それから、その黙想の中で神から語りかけていただいたことなど、感じたことについての分かち合いをします。
1.み言葉選び(第三段階)
①聖書の言葉は宝石のようなもの
一人ひとりが選んだ単語あるいは短い文章は、聖書の中に隠されている宝石のよう
なものです。この段階が「宝を掘る」段階だと言われるのは、聖書の中の単語や文章が貴重な「宝」だと考えられているからです。左の絵は、ある人がその「宝」を見つけたときの様子を表したものです。
②単語や短い文章の選び方
読まれた聖書の中から「心に響いた」あるいは「何となく気になった」言葉を選びます。聖書は神の言葉で「隠された宝石」のようなものですから、難しく考えないで、とにかく選んでみます。
言葉を選ぶときは、自分に一番大切だと思える単語や文章を選びたくなりがちですが、そうしないようにします。神は、ご自分が選ばれる言葉を通して私たちと出会うことを希望しておられます。だから、私たちが自分の好きな言葉を早く選んでしまうと、神が与えようとしておられるものを得られなくなる恐れがあります。どんな単語であっても私たちを感動させることができるのですから、神の決定にお任せするように心がけます。
また、外面的に見れば意味がないように思える語句、たとえば「主はお座りになった」などという語句であっても、祈りの心を込めて静かな声で何度か読んでいるうちに、いつの間にか、自分がイエスのすぐ隣りに座っていることに、またそのイエスに愛されていることに気づかせてくれるようになるはずです。
③言葉の読み方
この段階では、一つの言葉あるいは短い文章(節)を選び、それを祈るような感じで3回大きな声で読みます。自分が言葉を繰り返している間や他の人が繰り返している間には、この言葉が心の中でこだましていくように、少し間をとり、沈黙を守ります。この沈黙の長さは、心の中でその言葉を1回か2回繰り返せる程度がよいでしょう。
選んだ言葉をだれかが読んでいるときは、他の人は静かに聞いています。たとえば、マタイ20・29-34を朗読した後では、次のような形になるでしょう。
【1番目の人】
「二人の盲人」(沈黙)
「二人の盲人」(沈黙)
「二人の盲人」(沈黙)
【2番目の人】
「わたしたちを憐れんでください」(沈黙)×3回
【3番目の人】
「目を開けていただきたいのです」(沈黙)×3回
2.神の声に耳を傾ける(第四段階)
「言葉の選択」が終わると再度聖書の同じ個所を読み直しますが、その次に進行係は、「私たちに語りかけてくださる神のみ言葉を、3分間、沈黙のうちにお聴きしましょう」と参加者たちに伝えます。
①一定の時間を伝える理由
参加者たちが沈黙の時間を前もって知っていれば、安心して神の語りかけに耳を傾けることができるようになります。そのために、進行係は自分の時計を何度か見るようにします。
多くの人には、沈黙のうちに一定の時間を費やすことは非常に困難です。しかしグループの中で行えば、それはより容易になります。
②沈黙の時間に行うこと
前の段階で自分が選んだ(他の人が選んだものでもよい)言葉や文章を繰り返し味わいます。
何度も何度もその言葉を繰り返しながら、神の語りかけに耳を傾けます。じっと主のおそばに座りながら、「心の目」を使って主を見つめています。
心が不安や心配ごとなどで一杯の場合でも、心の平和や静けさを望みながら、自分のすべてを主に託し、主が語りかけてくださる言葉にじっと聴き入ります。
3.感じたことを分かち合う(第五段階)
次の段階では、自分がどうしてその単語を選んだのかとか、沈黙の時間に自分の「心に響いた」ことなどについての、個人的な分かち合いをします。
①自分の体験などを分かち合う
参加者たちは、「私はこの単語に心が引かれました。なぜなら・・・」とか、「私はこの文章に感動しました。なぜなら…」などと言いながら、その言葉と重なる自分の体験などについての分かち合いを始めます。
自分の体験などを話せないような人は、「私はこの言葉に心が引かれました」と言うだけで終わってもかまいません。それさえも言えない場合は、何も言わなくてもよいのです。誰に対しても「分かち合い」を強要しない、というのが原則です。
②沈黙の時間に感じたことを分かち合う
前の段階で自分が選んだ言葉についての分かち合いをしなければならない、と考える必要はありません。他の人が選んでいた言葉についてでも、沈黙の時間に心に浮かんだことや、神から語りかけられたように思えたことなどについての分かち合いをしてもよいのです。
そのような分かち合いを続けているうちに、参加者たちはそこにキリストが実際においでになり、自分たちに語りかけてくださっておられるという気持ちを抱いてくるに違いありません。
前回ご紹介した聖書の「目次の覚え方」が好評で、旧約聖書のほうも教えてほしいという意見が多数寄せられましたので、新共同訳聖書の順序に合わせた形のものをご紹介させていただきます。メロディーは、同じ「鉄道唱歌」を用います。
(1)創世(そうせい)出(しゅつ)レビ 民数記(みんすうき)
申命(しんめい)ヨシュア 士師(しし)ルツ記
上下のサム 列(れつ)歴代誌(れきだいし)
エズ ネヘ エステル ヨブ 詩編
(2)箴言(しんげん)コヘ 雅歌(がか)イザヤの書
エレミヤ 哀歌(あいか)エゼキエル
ダニ ホセ ヨエルにアモスの書
オバ ヨナ ミカ ナホ ハバクク書
(3)ゼファニア ハガイにゼカ マラキ
「続編」 トビ ユディ マカ2つ
知恵 シラ バルクに エレ手紙
旧約聖書は47(しじゅうなな)
鹿児島カトリック教区報2021年9月号から転載
【まとめ】「み言葉選びと黙想そして分かち合い」(第三、四、五段階)
この記事を読んだ信徒の方から、「み言葉選びと黙想そして分かち合い」(第三、四、五段階)まとめ、の提供を受けましたので、皆さんの便宜に供したく掲載いたします。個々人はもちろん、小教区やグループなどでの分かち合いにご活用ください。