教区シノドス推進会事務局・長野宏樹
7段階法のまとめ
これまで6回にわたって「み言葉の分かち合い」の具体的な進め方について述べてきましたが、これをまとめてみたいと思います。
1.7段階法の目的
①この方法は、班集会を行うための方法として開発されました。
②どのような集まりで使用するか。
- 班集会の場合:この方法を手順通りやっていけば班集会ができるようになっていることです。
- 司牧評議会の場合:小教区や教区評議会で使うとよいのですが、手順通り全部行うと会議の時間が足らなくなるので、感じたことの分かち合いを行う第5段階を省くとよいでしょう。第4段階の黙想まででしたら15分位で終わります。
- 種々の会議で行う場合:研修会や修道会の長時間の会議などは、この7段階法で始めて、会議の終わりは第7段階の感謝の祈りで終わるとよいでしょう。
2.メリット
①この方法での第1段階の招きの祈り、第7段階の感謝の祈りを祈祷書の定型の祈りでなく、自分のことばで祈ることができるようになります。
②会議を霊的な雰囲気で行うことができます。人間の思いだけでなく、神様の望まれるのは何かをいつも心がけることにより、会議でいろいろ意見がでても最後はまとまると思います。
③参加者の分かち合いのとき、各人が分かち合ったことを参加者が受容することにより、自分も受け入れてもらえた、自分も皆の仲間だということを実感できると思います。
3.留意点
①この方法を始めた最初の段階では、発言しない沈黙の世界におちいりがちです。自分の分かち合いは間違っているのではないかとかポイントを外しているのではないかという恐れから沈黙になりがちです。幼子のように、地位も名誉も捨てて思い切って発言しましょう。
②分かち合ったことに対して、コメントや意見をいうことは絶対にしないでください。コメントなど言い始めると議論になってしまうので慎みましょう。霊的な雰囲気を壊さないようにお互い気をつけましょう。
③この集まりの中心はあくまで、集いの中に来て下さっているイエズス様であることを忘れないようにしましょう。集いの真ん中にローソクをともすのはイエス様の現存を忘れないようにするためです。
④進行係は指導者ではありません。ついつい説明しようとの誘惑にかられるかもしれませんが、参加者の一人ですから他のメンバーと同等に発言します。
⑤役員とか司祭が参加している場合、その方はみ言葉選びとか分かち合いは最初とか最後にはしないように気を付けましょう。というのは、そのような方が最初に発言されると「あのように上手に言えない」とか、最後に言われると「私のつたない発言が総括されるのではないかと」と緊張される方がいるからです。参加者の一人ですので、参加者の真ん中付近で行うようにするとよいでしょう。
⑥この集いで分ち合われたことは、絶対に口外しないでください。ここで分ち合われたことが外に漏れるとその方は二度と参加しなくなるので注意しましょう。
⑦分かち合いはみな平等ですので、一人の人が長く話すと他の人の話す時間が無くなります。長くなりそうでしたら、ストップウォッチで3分たったら鳴らすのがよいかもしれません。
⑧分かち合いは告解ではありません。あくまで自分が選んだ言葉がなぜ今日響いたのか自分の体験を分ち合えばよいのです。また、往々にして解釈・説明やこうあるべきだと発言されることがありますが、それはやめましょう。
4.難しさの克服
①忍耐強く:最初の慣れない段階では自分たちには合わない方法だと思いがちです。特に招きの祈りや感謝の祈りが難しいようです。そのような方は例文を使って祈るとよいでしょう。
②信じて:自転車乗りを習い始めるとき転んだりするので自信を無くしたりしますが、そのうちコツを会得すれば自然と乗れるようになるように、絶対にできるという信念をもってやりましょう。
③思い切って:人間はある面保守的で新しいことを始めるとき抵抗があります。思い切ってチャレンジしてみましょう。
5.全員参加の教会つくりと「み言葉の分ち合い」との関係
教区シノドスの提言書の中で、司教様は「全員参加の教区を作りましょう」と述べておられますが、今回長々と説明してきた7段階法は次のような観点から全員参加つくりにふさわしい方法と考えられるからです。
①参加する教会つくりに役立ちます。=この方法を実践していくうちに(招きの祈りや聖書朗読、み言葉選び、分かち合い、感謝の祈りなどを自主的に行うことにより)、教会つくりに自発的あるいは積極的に参加するようになると思います。
②交わりの教会つくりに役立ちます。=参加者との霊的交わり、集いの中心に現存するイエス様との霊的交わりができるでしょう。
③宣教する教会つくりに役立ちます。=宣教しましょうといわれても、どのようにすればよいのか、それは司祭やシスターあるいはカテキスタ・宣教奉仕者の仕事であって自分の仕事ではないと考える人が多いようです。しかし、この分かち合いで、自分の信仰体験を話すことは誰にでもできるし、それを重ねるうちに友人や知人などに対して自分は信仰をこのように生きていると話すことは、まさに宣教する教会つくりに参加して
いると考えられます。
この解説シリーズの中で小教区の理想の姿として「班(小共同体)中心の教会の」を紹介しましたが、7段階法は向かうべき教会の姿実現のための有力な方法だと考えられていて、アジア司教協議会連盟(FABC)で開発し1992年からスタートしたAsIPA(Asian Integral Pastoral Approach)プログラムの中で最も重要なプログラムの一つです。
教区シノドス推進会議の信仰部会では、班長研修会を各地で実施していますが、その中で「班制度と聖書の分かち合い」にポイントを絞って実施中です。研修会の成果を各小教区で実施に移していただき生き生きとした小教区つくりを目指してまいりましょう。
鹿児島カトリック教区報2021年11月号から転載
【図解】みことばの分かち合い・7段階法のまとめ
この記事を読んだ信徒の方から、みことばの分かち合い・7段階法のまとめ【図解】の提供を受けましたので、皆さんの便宜に供したく掲載いたします。個々人はもちろん、小教区やグループなどでの分かち合いにご活用ください。