司教の手紙

司教の手紙⑨---みんなが宣教者

投稿日:2019年9月29日 更新日:

皆様お元気でしょうか?
今回は、教会の3つの柱の3本目である「派遣」について考えてみます。

派遣は誰から、誰に向かって、どのような方法で?

ミサの最後に「感謝の祭儀を終わります。行きましょう、主の平和のうちに。」という司祭の言葉を持って、ミサは閉祭します。ミサ(missa)は元来ラテン語(mittere)から派生した、散会された、という意味を持っています。さらに、同じ語源から、missio(ラテン語)が生じ、英語のミッションとなって日本語になりました。ミッション・スクールやミッショナリー(宣教師)は、従って、派遣された学校、派遣された者、という意味になります。名は体を表す、と言いますので、この「派遣」は誰から、誰に向かって、どのような方法で、なされるのかについて考えます。

派遣元は御父である

①誰から?
「『父がわたしをお遣わしになったように、私もあなたがたを遣わす。』そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。『聖霊を受けなさい。』」(ヨハネ20・20)

復活の日の夕方、イエスは弟子たちに現われて、このように言われました。ここで分かるように、派遣元は天の御父です。御父は、御子と聖霊で弟子たちを包み込みます。御子と聖霊はまるで御父の両腕のようだと考えることができます。

宣教師というと、入国管理事務所の理解では、外国からやってこられる方々を指します。「宣教師ビザ」を発行するためです。しかし、教会では父と子と聖霊の名による洗礼と堅信を受けた人は皆さん宣教者なのです。自分の体に十字架のしるしを記すとき、そのことを思い出しましょう。

すべての造られたものに

②誰に向かって?
「全世界へ行ってすべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい」(マルコ16・15)

イエスの思いは、全人類が幸せになることですが、「すべての造られたもの」には人間だけではなく自然界全体が含まれていることを想起しましょう。また福音とは「キリストご自身」と言い換えることができます。このことは、例えば「神の子イエス・キリストの福音の初め」(マルコ1・1)とか、「この福音は神が既に聖書の中で預言者を通して約束されたもので、御子に関するものです」(ローマ書1・2)とかの聖書の文脈の中で理解できます。ところで「福音」とは良い知らせという意味ですが「自分にも他人にとっても福音である」と言っても、そこで言われている福音はイエス・キリストとどんな関係があるのかを吟味する必要があるように思えます。

自分の知恵や能力ではなく、神のわざと力に頼る

③どのような方法で?
「神は、宣教という愚かな手段によって信じるものを救おうと、お考えになったのです。」(Ⅰコリント1・21)

この文章は、大宣教師聖パウロの言葉です。彼は、知恵のあるギリシャ人への宣教で大変苦心しました。「ユダヤ人はしるしを求め、ギリシャ人は知恵を探しますが、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。」(同1・22~23)

宣教者は自分の知恵や能力に頼りません。かえって、自分を救ってくださった神のわざ、力に頼るのです。レデンプトール会の会則にあるそうです。「会員は病床でも宣教師である」と。

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