司教の手紙

司教の手紙 ㉕「普遍教会の保護者 聖ヨセフの年」に寄せて

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教区の皆さま、お元気でしょうか?
昨年12月8日に発表された使徒的書簡で、教皇フランシスコは、2021年を「聖ヨセフの年」と宣言なさいました。これは、聖ヨセフを「普遍教会の保護者」と宣言した、教皇ピオ9世の使徒的書簡発布の150周年を記念して催されるものです。

今回はこのことについてお話します。

カトリック教会の伝統では各信者はこの世を神のみ旨に沿って生きられるように受洗時に保護の聖人をいただきます。それが洗礼名ですが、同じように各教会や、各国も保護の聖人をいただいています。因みに、日本の保護の聖人は聖フランシスコ・ザビエルです。

ところで、日本は一つの地方教会ですが、全世界の教会を一つの教会として捉える時、それを普遍教会と呼びます。そしてこの普遍教会を司牧するのが教皇です。

150年前、時の教皇ピオ9世は、普遍教会の保護の聖人として聖ヨセフを指定なさいました。そのことを記念する文書の中で、教皇フランシスコは、今年1年を聖ヨセフの年と定め、普遍教会(全世界の教会)のために聖人のご保護と神への執り成しを願うというものです。

今回は、教皇フランシスコの使徒的書簡「父の心で」に描かれている聖ヨゼフの肖像のいくつかの点を分かち合いたいと思います。

1.「神のみ旨に忠実で、思慮深く、思いやりに満ちた方」

「母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。」(マタイ1・18~19)

ユダヤ教の教えでは、婚約中に床を同じくすることは許されませんでした。ところが、マリアは身ごもってしまったのです。普通の男性なら、マリアへの不信が募り、彼女を責め、婚約破棄に至ることでしょう。しかし、厳格なユダヤ教社会では、マリアの妊娠は不貞な行為とみなされ、石打の刑に処せられることが必須でした。このような状況でのヨセフの苦悩はいかばかりだったでしょう。しかし、まもなく天使が夢に現れ、マリアの胎内の子は、聖霊によって身ごもったのだと告げます。そして、「ヨセフは眠りから覚めると主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れ、男の子が生まれるまで、マリアと関係することはなかった」(マタイ1・24~25)のです。

男女関係の乱れや結婚の破綻などについての世間話や、マスコミの報道が盛んなのはこの世の常ですが、真剣に人生の幸せを追求している若い人たちは、このヨセフとマリアの間柄について熟慮する価値があると思います。

2.「マリアと幼子を護る力強い父親」

「占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。
『起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまでそこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して、殺そうとしている』ヨセフは起きて夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた」(マタイ2・13~14)。

この話は、幼子イエスと母マリアを死の危険から救い出す、力強い父親としてのヨセフの行動を知らしめています。昨今のニュースでは、本来家族を敵から保護する役目の父親が、逆に家庭内で、妻や子供に暴力をふるうという事件が取りざたされています。原因は色々あるでしょうが、男は家を出ると、7人の敵がいる、という言い種が昔からあります。お父さんの抱えているストレスの解消法も家族で話し合ってみたらいいのではないでしょうか。

3.「陰で家族を支え、精神的支柱である父親」

「幼子はたくましく育ち、知恵が満ち、神の恵みに包まれていた」(ルカ2・40)「イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された」(ルカ2・52)

先の文章は幼児期のイエスの様子で、後は12歳の時の様子です。福音書は簡潔ながら人間の成長過程の大事なポイントを指摘しています。すなわち、幼児期は①たくましく育つ、②知恵に満ちる、③神の恵みに包まれる、です。

また、児童期は①知恵が増す、②背丈が伸びる、③神と人に愛される、となります。

これらのイエスの成長過程での父親としてのヨセフの役割は大だったと思います。なぜなら、幼子イエスは、ヨセフの貧しくとも勤勉で、誠実な労働者(大工)の後姿を見て育ったと言えるからです。

教皇フランシスコは、新型コロナ禍の中で、苦しむ世界の教会の姿を見て、上記のような力強い父親としての聖ヨセフの執り成しを強く願っているのではないでしょうか。聖人の徳と執り成しが、この世の施政者にもたらされることを切に願います。

鹿児島カトリック教区報2021年3月号から

メモ

教皇フランシスコ

使徒的書簡 父の心で
聖ヨセフを普遍教会の保護者とする宣言150周年を記念して

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