教区シノドス関連

教区シノドス これからどう進む---③

投稿日:2020年10月29日 更新日:

教区シノドス推進会議事務局・長野宏樹

全員参加の共同体を目指して

前回は、「主任司祭中心の教会」という小教区のタイプを提示しましたが、今回は、「活動団体中心の教会」の姿をながめてみることにします。

2 活動団体中心の教会

活動団体中心の教会

活動団体中心の教会

(1)活動団体の種類

上の絵は、活動団体が中心的な働きをしている小教区の姿を表しています。そこに描かれている活動団体を、3種類に分けて考えてみます。

聖堂へ向かう矢印の団体 これらの団体は、小教区のために活動する団体を表しています。例えば、ミサや葬儀などでの解説を担当するグループ、聖書朗読のグループ、病人訪問担当グループ、などです。

外に向かう矢印の団体 これらの団体は、小教区外で起こる出来事や超小教区的なことがらへの対応をする活動団体です。例えば、隣りの小教区の信徒と合同で取り組む活動、正義と平和にかかわる活動、滞日外国人支援活動、ホームレスのための奉仕活動、などをする団体です。

矢印のついていない団体 これらの団体は、信徒としての個人的成長をめざした活動団体です。例えば、教理の学習会、聖書研究会、共にロザリオを唱える会、などです。

私たちの教会の中にも似たような団体があると思います。具体的には、小教区によって相違があるでしょう。

(2)活動団体の存在意義

これらの活動団体が活発に動いている小教区は、何か躍動的な感じがします。そこで、活動団体の存在意義について考えてみることにします。

①活動団体があるおかげで、小教区はたいへん活性化されます。多くの信徒が、それぞれのタレントに応じた活動に参加できます。ある人は自分自身の成長のために、ある人は小教区のために、そしてある人は小教区を超えた活動のために働いています。

②活動団体中心の小教区では、助けを必要としている人々を小教区内外に発見し、彼らの必要を満たすための協力をすることができます。

③活動団体の働きが中心となって、小教区は大いに成長していきます。多くの信徒が教会活動に参加できるようになり、参加していく中で、信徒としての自分自身の召命とは何なのかを認識していけるようになります。言い換えれば、活動団体のメンバーたちは活動を続けていくうちに、「主任司祭を助ける」というよ
りも、「教会である自分たち自身の使命に生きる」という考えに変わっていくのです。

④しかし、活動団体中心の教会にも、それらの団体に入会することを尻込みする人が少なからず存在します。その結果、それらの活動に参加する人数も、いつの間にか限られてくることになります。

(3)振り返ってみれば

①活動団体という言葉は、もともとは「カトリック・アクション」からきています。第二次大戦前後の教会を導かれた教皇ピオ12世は、信徒が教会の中で行う活動を「カトリック・アクション」と呼び、それらの活動は位階制度の元にある道具なので、その腕のような役割を果たすべきだ、と説明されていました。

②そして1957年に開催された「カトリック・アクション第二回世界会議」の席で、カトリック・アクションとは「信徒使徒職」のことであり、たとえ教会の命令によって行われるものであっても「位階上の使徒職」とはならないと説明して、洗礼によってすべての信徒に授けられる使命の範囲を指摘なさいました。

③この問題は、その5年後にヨハネ23世によって開催されたた第二バチカン公会議においても取り上げられましたが、最終会期に「信徒使徒職に関する教令」という形でまとめられ、その重要性がより強調されることになりました。

④戦後の日本の教会も、このような世界の動きに対応しながら、信徒使徒職活動に大きな力をそそいできました。以前よく耳にしていた活動団体には、レジオ・マリエ、ヴィンセンシオ・ア・パウロ会、カトリック青年労働者連盟(JOC)、勤労者連盟、などがありました。

⑤1979(昭和54年)に「鹿児島教区信徒使徒職協議会」が設立されてからは、教区内での活動も盛んになりました。しかし、これらの活動団体も、半世紀近くを経た現時点では、その数も減少し、数えるほどしか存在しません。また、昔若かった会員たちがそのメンバーのままの状態で年月が経ってしまっているようにも感じられます。昭和30~40年代に大いに活躍していた活動団体のことを知っている者にとっては、さびしい現実ではないでしょうか。司祭にとっても信徒にとっても、何か魅力がなくなったのでしょうか。

(4)これでいいのか

活動団体中心の小教区に行くと、「忙しそうな教会だな」と感じる人が多いでしょう。いつも何かが進行していて、信徒たちは常に活動しています。そして司祭たちも、指導司祭として活動団体の集会に出席することになりますが、活動が活発であればあるほど、対応に忙殺されていきます。

これが理想的な小教区で、教会のあるべき姿だ、と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、このような考えに疑問を抱いている人も少なからずいるはずです。

第一の問題点は、「燃え尽き症候群」の増加です。特にリーダーたちは、忙しすぎると霊的な面がおろそかになり、奉仕者としての精神を忘れ、「仕切り屋」や「行事屋」になってしまう危険があります。燃え尽きたメンバーの中には、もう二度とやるまいという決心をする人さえ出てくるようです。

第二に、活動に参加する人の数が限られてくる、という問題もあります。活動団体が大いに活動している小教区であっても、はたして何パーセントの信徒がその活動に実際に参加しているかを調べてみると、その数字はそれほど高くはないのではないでしょうか。

このタイプの小教区は活動的だとはいえるでしょうが、はたして私たちが理想とする小教区の姿は、このようなものなのでしょうか。

次回は、第三のタイプの教会像として、「小教区評議会中心の教会」について考えます。

鹿児島カトリック教区報2020年11月号から転載

【2020/10/31追記】

【図解】活動団体中心の教会

この記事を読んだ信徒の方から「活動団体中心の教会」図解の提供を受けましたので、皆さんの便宜に供したく掲載いたします。個々人はもちろん、小教区やグループなどでの分かち合いにご活用ください。

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