門田明氏の鹿児島とキリスト教

ザビエル、日本についてヤジロウに学ぶ

更新日:

門田明氏の鹿児島とキリスト教⑥

先号では、ザビエルがマラッカで鹿児島のヤジロウに出会ったことに触れた。ザピエルが日本宣教を現実の問題として強く望むようになった一つの理由は、このヤジロウとの出会いであった。

ザビエルは書簡で「(ヤジロウ)は私に告解したいと思ってマラッカに来た」と言っている。この言葉は、ザビエルが出会いのその時から、ヤジロウを誠実な人物だと直感したことを物語っているように思われる。

ザビエルが最初に出会った日本人ヤジロウが、優れた人物であったのは本当に幸せなことであったと思う。

ヤジロウに出会うことによって、ザビエルの日本宣教の期待はますます強くなっていく。以下、ザビエルのヤジロウ評を紹介したい。(河野神父の書簡訳により、ヤジロウの呼称は原書のとおり「アンジロウ」とする)。

「もしも日本人すべてがアンジロウのように知識欲が旺盛であるなら、新しく発見された諸地域のなかで、日本人はもっとも知識欲の旺盛な民族であると思います。このアンジロウはキリスト教講義に出席した時に信仰箇条を書きました。また教会へたびたび行って祈っていました。かれは私にいろいろな質問をしました。彼は知識欲に燃えていますが、それは非常に進歩するしるしであり、また短時日のうちに真理の教えを認めるに至るでしょう」

ザビエルはヤジロウに日本宣教の可能性を尋ねている。これに対してヤジロウは「すぐには信者にならないだろう。まず初めにいろいろと質問し、どれほどの知識があるかを観察するだろう。特に生活態度が話していることと一致しているかどうかを見るだろう」と答える。そして「日本人は理性によってのみ導かれる人びとである」と言い切っている。

これを読むたびに私は「本当にそうかな?」と少し恥ずかしくなる。(玉里教会信徒・ザビエル上陸顕彰会会長)

鹿児島カトリック教区報2006年10月号から転載

お勧めの記事

中野裕明司教の紋章 1

この世は闇に覆われているので、明るいニュースに乏しいのが現実です。そんな中、罪と死に打ち勝ち、復活したキリストを賛美し顕彰する教会の使命は、まさに福音宣教の一点にあると言えるのではないでしょうか。

中野裕明司教の紋章 2

聖家族とは、神が人間となって私たちの一人になってくださり、私たち家族の苦労を共有してくださった最初の家族のことです。その家族とは、ヨゼフとマリアと幼子イエスのことです。

中野裕明司教の紋章 3

「ミサのカテケージス」は2022年の教区目標として、今年6月の司祭集会で司祭団に公表され、同じく9月の同集会で再確認されました。それは、今年の待降節第1主日(11月27日)からミサで使用されている言葉が、いくつか変更されるからです。

中野裕明司教の紋章 4

今回は世界宣教の日(10月23日)に因み、禁教令下最後の宣教師シドティ神父についてお話します。彼は、1708年屋久島に上陸、すぐに捕らえられ、長崎の奉行所で尋問を受け、翌年、江戸に送られ、キリシタン屋敷に収監されます。

中野裕明司教の紋章 5

教皇フランシスコが命がけで、訴えていることは、二つの回勅で指摘されていることがらが真実であるかどうかを、私たちが暮らしている現場、あるいは日常生活の中で確認する作業を怠らないようにということです。

-門田明氏の鹿児島とキリスト教
-

Copyright© カトリック鹿児島司教区 , 2023 All Rights Reserved Powered by STINGER.